円高がすすむ為替相場

円高に悩むFX投資家

日本円のイメージ

 

FX投資家は急激にすすむ円高に悩んでいる。東日本大震災後の円高、そして今度はギリシャ国債のデフォルト(債務不履行)危機が深刻化している。世界恐慌の引き金になるのでは、との危惧が強まっており、安定通貨としての円を買う、つまり円高の流れは止まりそうにない。FX投資家が待ち望む円安はいつになったら始まるのか?様々な角度から為替相場を考察したい。

為替相場は円の買い戻しがすすみ円高に

2011年1〜3月期の主要通貨の騰落率を見ると、東日本大震災後の急激な円相場の上下動はあったものの、全般的に円と米ドルの双方の弱さが目立ったと言うことができる。これは、市場参加者のリスクテイク志向が非常に強かったことを示している。世界の株価を見ても東日本大震災で一旦急落したものの、その後急激に反発しており、世界経済の成長は引続き力強く、過剰流動性に支えられて市場参加者のリスクテイク志向が強い状況は続いているようである。

 

3月17日に発生したドル円相場の76.25円までの急落は、日本のFX証拠金取引参加者やオプション取引に絡む損切りの為の円買い戻しが背景にあった。それまで円安方向に見ていたヘッジファンドなどの海外勢も円買い戻しを余儀なくされた。

 

市場にとって不運だったのは、この損切りの円買い戻しが執行されたのがニューヨーク時間夕方5時、日本時間朝6時という市場の流動性が非常に低い時間帯だったという点である。もっとも、円/ドルはすぐに反発し、翌日には協調介入もあって80円台を回復。その後は、日本の景気減速や財政赤字拡大懸念を背景にした海外短期筋による投機的な円売りが続いた。3月最終週頃からの円相場はこうした投機的な円売りを背景に極端に弱くなっており、主要通貨の中で最も弱く、実効レートペースでは約2週間で5%程度下落、本稿を執筆している4月8日時点で、円/ドルは85円台まで上昇している。

ドルの下落が反落リスク

今後数カ月間の為替相場は逆に円の買い戻しが進み、円/ドル相場は反落基調をたどると予想している。こうした予想の背景を大きく分けると以下の3点が指摘できる。

 

@海外短期筋による投機的な円売りポジションがかなり大きくなっていると考えられる一方、本邦投資家や企業によるリスクヘッジのための円買戻しが今後行われる可能性が高い。本邦投資家や企業による円買い戻しが本格的に始ままったら、結局投機筋も円買い戻しを余儀なくされるであろう。また、海外投機筋を中心に市場参加者の多くは財務省と日銀が80円を防衛ラインと考え再び円売り介入を行うと期待している。しかし、これまで市場は何度も誤解をしてきたが、防衛ラインなどというものが設定されることはない。今後、円ドルが緩やかに下落し、結局80円を再び割れる事になっても介入は行われないであろう。

 

A日本の大震災の影響が経済指標に現れてくるのはこれからであるが、日本はもちろん、アジア諸国や米国でも部品等の供給が滞り、生産の落ち込みが予想される。こうした状況が明らかになるにつれ、世界の株価は一旦調整局面に入るであろう。この結果、リスク回避志向が高まり、一般的な動きとしても円か買われやすくなる。阪神淡路大震災、9/11同時多発テロ、ハリケーン・カトリーナ等、想像を絶する大災害が起きた後の株価はまず大きく急落し、すぐに反発する。その後しばらくは緩やかな下落基調をたどる傾向がある。

 

Bドルの弱さが円/ドルを押し下げる。前述の通り、4月に入り、円か主要通貨の中で最弱通貨となることによって円/ドル相場は85円台まで上昇しているが、この間2番目に弱かったのはドルである。 ドルの実効レートは4月に入っても下落基調を続けている。世界最大の経常赤字国、対外債務国である米国の短期金利が極端に低いことはドルにとってかなりネガティブである。今後、全般的に世界経済が回復基調をたどる中で米連邦準備理事会(FRB)が利上げに踏み切れないのであれば(我々は引続き2013年までFRBによる利上げは無いと見ている)、ドルは2002〜2004年の3年間に見られたのと同様に主要通貨の中で最弱通貨となるであろう。日本の投資家による積極的な対外投資が無い状況で、「円安」だけを要因に円/ドルが長期間上昇トレントをたどった事例はほとんど無い。円ドルの上昇にはドルが上昇トレントを続ける必要があるのである。 ドルが下落トレントを続けている中では円/ドルの反落リスクは高いだろう。